Chatting Kitchen

さまようOL生活

辰巳芳子さんレシピ~初夏の煮梅~

【2/110】

 

春先に体調を崩し、病院や自宅で療養する日々が続いたあと、ようやく回復して外に出てみると、いつの間にか春が過ぎ去って夏の気配がしたとき、ひとつの季節を失ったことへの喪失感が心に残りました。

 

振り返ってみれば、大人になってようやく、季節の一つ一つをいとおしいと思うようになったように思います。季節ごとの楽しみを見つけられるようになった、のだと思います。

 

今回作ってみたのは、煮梅。

 

梅の実が出回る初夏に、なぜか手が伸びて買ってしまった梅。梅酒にしようか、梅ジュースにしようか思案しているときに、ふと目に留まった辰巳芳子さんの煮梅のレシピにチャレンジしました。なんとも渋いこと。

 

まず、梅に小さな穴をあけ、塩水に浸して数日。流水にさらして1日、甘いシロップに浸けて数日…ようやく食べれるようになります。

 

なかなかレシピどおりにはゆかず、塩水に浸けて冷蔵庫に入れたまま数日間忘れてしまったり、流水にさらしてたつもりが蛇口の具合で水が止まってたり…。まあ、いいや、と広い心で受け流したものの、途中のつまみ食いでは「しょっぱ!すっぱ!」と不安になりましたが、甘いシロップに浸けはじめて2日目からでしょうか、苦味やすっぱさが徐々に薄くなり、甘い煮梅になってきました。

 

ずいぶん日数のかかるものだと思いましたが、手のかかるのは始めに穴をあけるところだけ。あとは時間が梅を美味しくしてくれます。

 

寝覚めの梅に、仕事から帰ってきたあとの梅と、楽しんで食べています。夏の暑さを乗り切る力になると信じながら…。

 

 

辰巳芳子の旬を味わう いのちを養う家庭料理

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